陶土・瀬戸キャニオン

 瀬戸市の地盤を形成する地層は、今から1千万年以上前から約200万年前にかけて堆積してできた「瀬戸層群」という砂礫と陶土の地層で構成されている。
 瀬戸層群の中にはやきものづくりに欠かせない「蛙目」「木節」といった良質な粘土とガラスの原料となる「珪砂」が豊富に含まれる「瀬戸陶土層」があり、瀬戸の多種多様なやきものを生み出す源となっている。
 蛙目粘土は、石英の粒や雲母の砂が多量に含まれた粘土で、石英の粒が蛙の目のように見えることからこの名が付けられたといわれる。主に磁器をつくるときに利用。木節粘土は、炭化した木片が混ざっていて黒っぽい粘土で、緻密で粘りが非常に強く、乾燥強度も強いことから大物製品やノベルティなどにも利用される。珪砂は、石英を主成分にした砂で、蛙目粘土と同じ堆積物から採れる原料で、ガラスの原料として使われる。国産の天然珪砂のほとんどは、瀬戸層群から採掘される。
 名古屋から瀬戸川北岸を抜け、土岐・瑞浪方面に抜けていく信州飯田街道は、瀬戸市街地の北側で丘陵尾根上を通る。この市街地北側の部分が瀬戸で最も良質で豊富な粘土を産出するため、瀬戸では地表面で採取しきると、坑道掘り(チンマル掘り)により地下深くの陶土等を採掘するようになる。坑道掘りは、落盤などの危険が伴うため、昭和36年に禁止されると、階段状に表土層を取り除いていく露天階段掘りが主流になり、信州飯田街道の痕跡は跡形もない。
  瀬戸市内にある巨大な露天掘りの鉱山は、その風景の雄大さがグランドキャニオンに似ていることから瀬戸のグランドキャニオン(瀬戸キャニオン)とも呼ばれている。 
 昭和30(1955)年に渋谷実監督により製作・公開された松竹のカンヌ国際映画祭参加映画の「青銅の基督」では、その主人公らの処刑シーンが瀬戸の陶土採掘場(瀬戸キャニオン)で、エキストラとして瀬戸市民1千人の参加により大規模に行なわれた。