木造阿弥陀如来立像
この阿弥陀如来像は、県指定文化財の十一面観音菩薩立像とともに八劔社の観音堂に祀られていました。現在も月に1度、地域の方々が集まり念仏講を行い大切にされています。 像は、檜材の一木造りで、現在は木地があらわになっていますが当初は多くの部分に彩色されていました。横長で柔らかい輪郭線の慈眼と、小さく整った鼻・唇により穏やかな面相をなし、大きめの肉髻には小粒の螺髪を整然と刻み出しています。衣文の線条や両袖の彫刻には立体的な造形が薄いものの、総じて藤原期の仏像の様式をとどめています。手の印は、右掌を前に立てて左掌を垂下げる来迎印を結んでいますが、両手首先・両足先および足元の踏割蓮華座は後に作り直されたものです。