石樋
県道207号に沿った樋ヶ沢川畔の目立たない場所に、瀬戸市の文化財名勝に指定された石樋があります。尾張志に「上水野山に樋が沢という大磐石の面ありて、水の流るゝが人工にてうがちたるが如く、実に神造の奇岩也。」と記載され、まるで樋のような造詣を自然が造り上げているので石樋と呼ばれていますが、川床の花崗岩の岩盤が流水によって永い年月をかけて浸食された「方状節理」とう現象です。流水溝の川幅は30~50㎝程度で、水深は上流部が30㎝、下流部で120㎝程あり、全長約60メートルにわたってみごとな景観を生み出しています。通常は流水溝が一筋ですが、増水時には複数の流水溝が現れます。平成23(2011)年の集中豪雨で樋ヶ沢川の川岸が崩れたが、石樋の岩盤は被害を免れました。この集中豪雨でどこからか大きな球形(直系120㎝前後)の岩石が転げ落ち、石樋の岩盤の上に落ち着きました。地元では、この岩石を「龍神石」と名付けて保存しています。