目鼻石

水野川の下流域の東谷山に沿った渓谷に「目鼻石」という大変珍しい形をした大岩があります。尾張名所図会には目鼻石・東門滝・筆捨山が1セットで描かれています。昔から尾張の名勝として知られており、尾張二代藩主の徳川光友公が定光寺の源敬公御廟所へ参拝に出かけた折には、目鼻石の近くに「御賞覧場ごしょうらんば」を設けて景色を眺めながら休憩したといわれています。目鼻石は流水によって造形される甌穴(ポットホール)という現象です。急流で岩石の柔らかい部分に小さな穴が空き、その中で小石が渦巻き状にコロコロと回転して、しだいにくぼみが大きくなったもので、別名「かめ穴」とも呼ばれています。この自然造形は急流河川や氷河期の地層によく生ずる現象で全国的に散在しています。しかし、水野川の目鼻石は人面の形をした大きな岩石で、珍しい形状のために、瀬戸市では名勝として文化財に指定されています。東門滝は落水が枯渇し、今は滝の姿が見られません。

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