陶彦社
陶彦社は文政7(1824)年に瀬戸の陶祖である加藤四郎左衛門景正(春 慶)を祀るため深川神社社殿の東隣に創建された。現在の社殿は 大正15年(1926)に遷座されたものである。
南面する本殿は高さ6.34mで、銅板葺一間社 流造りである。本殿前には銅板葺入母屋造りの拝殿(高さ8.702m)があり、それらの間が銅板葺切妻造りの幣殿で繋がれている。 通常社殿の周囲は玉垣で囲むが、陶彦社では正面以外は木塀ではなく築地塀となっている。これは、窯元が多く社殿の焼失の危険性もあるため防火目的の築地塀であるといえる。
陶彦社は、名古屋の堂宮大工である伊藤平左衛門家の伊藤平二によって建造され、各社殿にみられる蟇股、木鼻などの細部意匠に、亀岡末吉の建築意匠の影響がみられる。当時の社寺の伝統的意匠をもとに華麗な特徴的意匠を施したその彫刻意匠は「亀岡式」とも呼ばれ、日本建築に西洋文化を取り込んだ斬新で洗練された建築美が特徴的である。陶彦社の意匠には、本殿正面の特徴的な木階の飾金物や破風の優雅で力強い 鳳凰、猪の目と呼ばれる日本の伝統的な繰り形に新たに西洋的なハート形を随所に取入れた飾金物などがある。これらは瀬戸市域および周辺の寺社建築にも同様なものはみられない貴重な建造物である。
アクセス
電車 名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅から徒歩10分
車 東海環状自動車道 瀬戸赤津ICを下りて、県道33号線を西へ瀬戸市街地方面へ向かい、東本町1丁目の宮前通りを右折し直進。宮前橋を渡り、鳥居を抜けて現地へ
駐車場 有(30分以上有料 11台)
愛知県瀬戸市深川町11
0561-82-2764